同店は、100年以上続く老舗和菓子店「紅谷」の店舗の一角で2015年にスタートした。紅谷の和菓子やドリンク類のほか、軽食も楽しめる20席ほどのカジュアルなカフェだ。島内では1年を通して営業するカフェが少ないこともあり、人気が高い。
店舗は築40年以上が経過しており、2カ所のトイレはいずれも和式だった。カフェのスタート以降、トイレの利用がそれまでと比べて大幅に増えたことから、同社の稲田ゆみ代表は和式トイレに課題を感じることが多くなったという。特に外国人客は和式に慣れておらず、中には使い方がわからず便器に直接座ってしまう人や、用を足さずに席に戻ってきてしまう人も。日本人でも若年層は和式に馴染みがない人が多く、「和式トイレなんて今時ないよね」といった声を聞くこともあった。
費用負担の大きさから洋式トイレへの改修に踏み切れずにいたところ、地元商工会から同補助金を紹介された。最大で半額が補助されることを知り、2021年3月に申請した。
事例紹介
店内2カ所の和式トイレを洋式に
~インバウンドはもちろん全ての人の利便性アップ
- 活用した支援メニュー(最新版)
- インバウンド対応力強化支援事業(令和7年度)
事業者情報
- 企業名
- 有限会社 紅谷(CAFE BENI)
- 所在地
- 東京都新島村本村6-1-6
- HP
- https://niijima-beniya.com

東京の南約160kmに位置する新島は、伊豆諸島の一つ。白い砂浜と青く透き通った海に惹かれ、マリンレジャーを目的に多くの人が訪れる。CAFE BENIは海水浴客で賑わう前浜海岸から200m足らずの場所にあるカフェで、メインストリートに面している利便性から、島民の利用者も多い。
同店を運営する有限会社紅谷は2021年、「インバウンド対応力強化支援補助金」を活用し、店内2カ所の和式トイレを洋式に改修した。
<補助金・事業を利用したきっかけ>
和式に困惑する外国人客 洋式への改修急務に


<補助金・事業を活用した取り組み>
タンクレスで広々 クリーンで明るい雰囲気に
トイレは限られたスペースを広く使えるようタンクレスのタイプを採用し、人気の高い温水洗浄便座を選んだ。2カ所のうち、広い方のトイレには洗面化粧台を、もう一方には手洗い用のシンクを設置。また、限られたスペースでも扉の開閉がスムーズにできるよう、1カ所は引き戸を採用した。さらに、汚れの目立っていたタイルの床も解体し、グレーのビニル床シートにすることで滑りにくく、衛生的に保つことができるようになった。壁は白い壁紙でクリーンな印象を演出した。
カフェの運営に影響が出ないよう1カ所ずつ施工を行い、工事は同年7月の1カ月間で終了した。


<概算費用>
総事業費約260万円 そのうち補助金約120万円
<補助金・事業の活用スケジュール>
申請:2021年3月
交付決定:2021年6月
実績報告提出:2021年8月
額確定:2021年10月上旬
補助金受取:2021年10月下旬
<効果>
インバウンドだけでなく 来店客全員へのおもてなしが向上

稲田代表は改装後、妊娠中の外国人女性がスムーズに使うことができたのを見て、洋式にしたメリットを強く感じたという。また高齢者や足腰に不安を抱える人など、しゃがむことが難しい人たちにとっての利便性もアップ。誰もが使いやすい設備に生まれ変わったことで、インバウンドに限らず全ての来店客へのおもてなしが向上したと感じている。改装前を知る島民の利用者からも、すこぶる好評だ。
補助金の意義について、稲田代表は「いずれ改装しなければと考えていたが、補助金が出たことでその時期を大幅に早めることができた。早い段階で利便性を向上できてよかった」と笑顔を見せる。