東京観光産業ワンストップ支援センター > 事例紹介一覧 > 旅行システムの一新で業務効率が向上 ~属人化をなくし、働きやすい職場づくりを実現

旅行システムの一新で業務効率が向上
~属人化をなくし、働きやすい職場づくりを実現

活用した支援メニュー(最新版)
観光関連事業者のDX・経営力強化支援事業補助金(令和7年度)第2回

事業者情報

企業名
株式会社アイラス
所在地
東京都文京区音羽2丁目10番2号 日本生命音羽ビル4階
HP
同社は国際航空運送協会(IATA)公認代理店でもある

株式会社アイラスは、1992年の設立以来30年以上にわたり、保険サービスと旅行サービスの2事業を中心に、企業の国内外出張や各種手配を支えてきた。旅行サービスでは、法人向け手配を主軸としながら、近年は官公庁の案件にも対応するなど、取り扱い領域を広げている。

同社では、「観光事業者のデジタル化促進事業」の補助金(令和7年度現在の事業名は「観光関連事業者のDX・経営力強化支援事業補助金」)を活用し、旅行部門のシステムを全面的に一新、業務効率化を図った。

今回、同社旅行事業本部の三島英司取締役、千田治彦部長、藤本晃子課長の3名に、取り組みの背景や成果について伺った。

<補助金・事業を利用したきっかけ>
業務の属人化と紙カルテ依存が改革のきっかけに

同社の旅行部門では長年、自社サーバー上で運用するオーダーメイド型の業務システムを利用しており、機能追加や設定変更を重ねていった結果、システムの構造が複雑化していった。また、必要な情報を見るために、複数の項目を何度も開き直さなければならない画面設計であり、作業の際は画面の行き来が手間であったという。

業務が多岐にわたる旅行会社では、書類の記載方法などに担当者ごとの独自ルールが生まれやすい。従来のシステムでは、どこに引き継ぎ事項を書けばよいのかが分かりにくく、記載場所が統一されないまま運用されていた。そのため、必要な情報が一つにまとまらず、システムだけでは補えない部分を紙のカルテで管理する担当者も増えていった。紙が積み上がり、案件の流れが追いにくい状況が生まれ、テレワークを希望しても、カルテを確認するために出社が必要になるなど、働き方にも制約が出ていたという。

こうした状況を踏まえ、2021年頃から「システムの部分的な修正ではなく、根本を見直すべきではないか」という議論が社内で本格化した。しかし、会社のシステムそのものを入れ替えるとなると、膨大なコストがかかり、なかなか決断に踏み切れない状況であった。

そのような折、千田部長が、観光業界のあるメールマガジンにて「観光事業者のデジタル化促進事業」の補助金の存在を知った。

旅行会社も補助金対象に入るかどうかの判断が難しかったものの、千田部長は当時の担当役員に相談、要件を確認した結果、申請が可能と判明した。この補助金が大きな後押しとなり、業務システムの一新に踏み切ることができたという。

そして、次回のシステム更新時に補助金を活用する方針で準備をはじめた。実際の申請はシステム選定が進んだ2022年に行った。

<補助金・事業を活用した取り組み>
社内連携による円滑なシステム移行が完了

1画面に情報が集約されており使いやすいシステム
2024年に移転された広々としたオフィス

システムの移行作業について、三島取締役は「社内にSE経験者がいたことが非常に大きかった」と振り返る。旅行業は、パスポート情報やビザの期限、過去の手配履歴など、顧客ごとに扱う情報が多岐にわたる。膨大なデータを新システムへ移行するにあたり、社内で対応できたことがスムーズな移行の支えになった。

担当者の中には「以前のデータが正しく見られるか」「新しい画面でも必要な情報が把握できるか」といった不安も多く、導入後しばらくは旧システムと新システムを並行して運用しながら業務を進めていった。

藤本課長は、「膨大なデータ量だったので、きちんと移行できるのか最初は本当に心配でした」と振り返る。実際には、社内の協力体制もあり、想定していたよりも大きな混乱なく移行が進んだという。新システム自体はおおむね半年ほどで現場に定着。その後、約一年半かけて段階的に旧システムの利用を終了し、完全移行が完了した。

<概算費用>

総事業費:約2,040万円 
そのうち補助金:1,236万円 

<補助金・事業の活用スケジュール>

申請:2022年10月
交付決定:2022年12月
実績報告書:2025年1月
額確定:2025年6月
補助金受取:2025年7月

<効果>
業務効率化と働き方改革を同時に実現

業務効率化が進み、社内でのコミュニケーションもより活発になった
株式会社アイラス 旅行事業本部 藤本 晃子 課長(左) 三島 英司 取締役(中)千田 治彦 部長(右)

新システムの導入により、業務効率は大きく向上した。必要な情報を1画面で確認できるようになり、複数の画面を行き来する手間がなくなった。また、情報が一元化されたことで、必要な情報の所在がすぐに把握できるようになったことも大きい。担当者が不在の際も他のスタッフがスムーズに対応できるようになり、お客様をお待たせする場面も減ったという。

さらに、情報がシステムに集約されたことで紙のカルテが不要となり、テレワークがしやすい環境が整った。育児中の社員も在宅勤務を取りやすくなっている。「引越しの際も紙がなかったので荷物が減り、オフィス移転もすぐ終わりました」と藤本課長。

また、当初は想定していなかった効果として経理の工数削減が挙げられる。従来、旅行部門と経理部門では売上計上の基準が異なり、数字のすり合わせに時間がかかっていたが、新システム導入を契機に基準を一本化。長年の課題であったズレを解消することができた。従来は手作業でExcelへ転記していた作業も不要となり、月末業務は以前の半分ほどの時間で済むようになったという。

「近年は案件数も増えており、業務の効率化は避けて通れません。新しいシステムがなければ、現在の業務量にはとても対応できなかったと思います」と三島取締役は今回のシステム一新について語る。

「システムはあくまでも道具です。大切なのはシステムありきではなく、自分たちがやりたいことに合うツールを選ぶことだと思います」と千田部長。
働き方や社内連携の向上にもつながる取り組みとして、同社の更なる発展に期待したい。