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花畑記念公園の紅葉ライトアップを実施
~魅力的なコンテンツの造成で、地域連携と自走運営を目指す

活用した支援メニュー(最新版)
秋のライトアップモデル事業費助成金(令和6年度)

事業者情報

企業名
一般財団法人公園財団 花畑公園・桜花亭管理事務所(花畑記念公園・桜花亭)
所在地
東京都足立区花畑四丁目40番1号
HP
2023年のライトアップの様子

東京都足立区花畑の住宅街の中にある花畑公園は1984年に開園した地元民に愛される面積1.36万㎡の広大な公園だ。公園の周囲には約75本の桜が植えられていて、足立区の桜の名所としても人気を博している。

花畑公園の西側の一角には「花畑記念庭園・桜花亭」があり、日本文化に親しめる場所として「茶道教室」や「生け花教室」などの教室をはじめとした、多くのイベントが行われている。

花畑記念庭園は、1982年に建設に着手し、1984年に開園した。庭園の周囲は石垣と築地塀に囲まれ、庭園は、滝・池・小川・築山などがある「池泉回遊式」の日本庭園である。

また、園内の集会施設「桜花亭」には、庭園を見ながら食事やお茶を愉しめる桜花亭カフェや日本庭園を一望できる和室・洋室、茶庭を設えた茶室が備わっており、地元の方を中心とした憩いや交流の場として広く活用されている。

<補助金・事業を利用したきっかけ>
庭園の認知度を上げ、近隣だけでない幅広い広報をしたい

庭園の入り口
秋は日本庭園の木々が紅葉する

一般財団法人公園財団 花畑公園・桜花亭管理事務所は2023年度から花畑公園・桜花亭の管理を担当している。同財団の浅田増美所長は、同施設の企画、広報を主に担当しており、赴任した時から「庭園の認知度を上げるため、近隣だけではない幅広い広報をしたい」と構想を練っていた。
同施設には、紅葉する樹木が36本あり、特に紅葉の時期は色付く木々と日本庭園が調和し、趣ある風情が愉しめる。しかし、外周沿いの道路からは日本庭園が見えず、足立区民でもこの場所に日本庭園があることを知らない方が多いのが現状であった。

浅田所長は、この現状を何とか打破して、認知度を上げたいと思っていた。そのタイミングで、同じ財団内の別施設にて「秋のライトアップモデル事業費助成金」の活用事例を知り、興味を持つ。
同園は、過去にライトアップの実績はあったが、装飾は簡易的な物であり、ライトアップを愉しみながら庭園の周遊ができないものだった。ライトアップ期間の来園者数も1日100名ほどであり、クオリティをあげればもっと広く広報ができ、来園者数も増えるのではと考えた。

同庭園の管理を始めて1年目であったこともあり、周囲からは「規模拡大はまだ早すぎる」と反対の声もあったが、浅田所長は「こんなに良い素材が周りに知られていないのはもったいないし、1年目だからこそやる意味はある」と補助金申請に踏み切る。

<補助金・事業を活用した取り組み>
誰もが来たくなる、観光名所を作るために奔走

浅田所長は、ライトアップの質に徹底的にこだわった。
柔らかな暖色系のライトを取り入れ、細かい照らし方をして影に動きを入れる立体的な光の使い方をしたいとライト設営を担当する大林電機と構想を練った。自分が思い描いたイメージを、コイズミ照明株式会社の濱田氏に伝え、デザインを依頼。濱田氏は浅田所長の想いを見事形にして、36本の紅葉の木を200基のライトで装飾するデザインを造り上げた。(ライトの新規購入は151基)

また、ライトアップ期間中はスタッフの協力を得て、通常は昼間だけの営業であった桜花亭カフェの夜間のオープンも実現する。「果たして、夜カフェをオープンしても売上げがあるのだろうか」という意見も出たが、浅田所長はこのライトアップに自信があり、絶対にお客様が来てくださると信じていた。

更に、補助金を活用して広報の強化も実施。
ライトアップに向けて足立区ニュースレター10月号と秋のライトアップチラシの2種類のチラシを作成した。作成したチラシは近隣の草加市の一部にもポスティングをした。

<概算費用>

総事業費:約610万円 
そのうち補助金(交付決定額):約574万円

<補助金・事業の活用スケジュール>

申請:2023年8月
交付決定:2023年10月
実績報告書:2024年1月
額確定:2024年2月
補助金受取:2024年3月

<効果>
2年目は地域連携、3年目以降は自走を目指す

一般財団法人公園財団 花畑公園・桜花亭管理事務所 浅田 増美 所長(左)とスタッフの皆さん

2023年は「足立区花畑公園・桜花亭オータムフェスティバル2023」として11月23日から26日までの夕刻にライトアップを実施。その期間は16時30分から20時30分まで入園料300円(中学生以上)で開園した。4日間の入園者は合計1,492名であり、1日の来園者数は過去のライトアップの約3倍以上とのこと。
来園者層にも変化があり、イベント前は70代以上が圧倒的に多かったものの、ライトアップ時は40代~60代の来園者や家族連れも増えた。
来園者の居住地は足立区が中心ではあったが、ポスティングを実施した草加市の方の来園も多かった。
初めて来園して下さった人も多く、ライトアップが認知度の向上にも役立ったことがわかる。満足度も高く、アンケートでは「満足」と「やや満足」がほとんどを占めていた。
Facebookのアクセス数は1か月前と比較して約400%増加した。

「これまでできなかった広報ができたから新しい来園者層を得ることができました」
と笑顔で語る浅田所長。

カフェも大盛況でスタッフのモチベーションもアップし、ライトアップに向けた新メニューの開発にも勤しんでいる。今回の成功で、スタッフが前向きに気持ちよく働けていると感じる浅田所長。ライトアップ時の繁忙期に向けて体調を整えている人も多くいるとのこと。

1年目のライトアップが成功したこともあり、2年目は地域との連携を行っている。
ライトアップと同時に、地域のレストラン、神社、大学、団体などがイベントを実施、地域全体で盛り上げていく。
また、地元の大学生にイベント期間のアルバイト募集をしたところ応募が殺到した。

同補助金は3年間の継続申請が可能である。
「3年の期間があれば、ライトアップを地域に根付かせ、3年後には自走で運営ができるのではないか」と浅田所長は語る。
1回やって終わりではなく、地域の魅力的なコンテンツを造り、地域と連携して、地域を盛り上げていくことが必要である。

今後は、ライトアップ期間中に屋台を出店していたただいたり、企業から協賛していただいたりなど、イベント運営を広げていきたいとのこと。

「挑戦するチャンスがあるのなら、まずはやっていくべきだと思います。そして、そのチャレンジを無駄にしないように、広げていくことが大切です」と浅田所長は笑顔で締めくくった。