同施設は企画から運営まで株式会社プリズミックが一貫して行っている。同社は賃貸住宅の管理会社であるが、2018年にホテル事業にも本格的に参画した。現在は、都内23区で複数のホテルの客室の管理、運営をしている。
同社は「入居者が満足するデザイナーズ物件」を軸に、賃貸住宅の管理、運営を行っている。その為、本施設においても宿泊者の満足度向上を意識したデザインに拘った。
同施設の開業は2019年に計画され、開業計画の進行中、情報収集の中で「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」の情報を得た。国内外問わず、障害がある方や高齢のお客様などより多くの方々が宿泊できる施設を目指し、設計にバリアフリーを取り入れる方針を検討した。
当該補助金は、バリアフリーに関する義務化された基準を超える整備を行った場合、申請が可能であり、新築物件であればその基準に合わせた設計が可能であったため、申請手続きを行うこととした。
事例紹介
全客室バリアフリー対応のホテルを開業
~全ての宿泊者が快適に過ごせる環境を整備
- 活用した支援メニュー(最新版)
- 宿泊施設バリアフリー化支援補助金(令和7年度)
事業者情報
- 企業名
- 株式会社プリズミック(施設名:PRISM Inn Ogu)
- 所在地
- 東京都荒川区西尾久4丁目25番8号
- HP
- https://prism-inn.com/

2022年に東京都荒川区に開業した「PRISM Inn Ogu」は東京駅、上野、浅草などへのアクセスが良く、特にインバウンド旅行客からの人気が高いホテルだ。壁にはスタイリッシュな打ち放しコンクリートが使用されており、デザインに拘った客室は、宿泊者からの評価が高く、公益財団法⼈⽇本デザイン振興会主催「GOOD DESIGN AWARD」2022年度グッドデザイン賞ベスト100にも選出されている。
同施設は、家族やグループが1室に長期滞在できるホテルとして設計されている。
客室は全部で14室あり、全ての客室にキッチン、冷蔵庫、洗濯機などの生活に必要な設備が整っている。また、客室の広さは30㎡から72㎡と広々とした設計になっており、全ての客室がバリアフリー対応である。客室だけではなく、エントランスやエレベーター等、ホテル館内の至る所にバリアフリー対応がなされており、全ての宿泊者が快適に過ごせる環境が整備されている。
<補助金・事業を利用したきっかけ>
宿泊者の満足度向上を目指し、意識した「バリアフリー」

<補助金・事業を活用した取り組み>
新築ホテルだからできた、全客室と館内のバリアフリー対応



補助金の存在を知った時、当該施設は設計段階であった為、施設の設計をバリアフリーの建築設計標準に合わせることができた。新築であるがゆえ、ゼロからの設計が可能であったことが功を奏したのだ。
2022年1月に建物が竣工した。同施設はエントランスから客室に入るまで、全ての動線に段差がないため、車椅子の方や足や目が不自由な方も安心して移動が可能である。客室内には電動ベッドも導入されているため、介助が必要な方も一緒に滞在ができる。
また、エントランス、エレベーター、客室、バスルームなど全ての扉の幅のスペースも十分取られている為、車椅子を使用している方でも移動がスムーズに行える。
一部の部屋は天井が高く設計されており、一番高い部屋であれば3.5m程の高さがあり、多くの旅行客がゆったりした開放的な空間を楽しんでいる。
<概算費用>
総事業費3,476万円(総事業費のうち補助金対象工事に関する金額)
そのうち補助金 2,528万円
<補助金・事業の活用スケジュール>
申請:2021年1月中旬
交付決定:2021年1月下旬
実績報告書:2022年3月上旬
額確定:2022年3月下旬
補助金受取:2022年4月
<効果>
バリアフリーの重要性を再認識し、新規建設のホテルにも導入予定

全室バリアフリー対応についてはサイト等で告知をしており、実際、車椅子利用のお客様も宿泊されている。
同社は新たなホテルの計画を進めており、同補助金を申請予定である。今回の補助金申請にて得たノウハウを新事業にも活用するとのこと。
バリアフリー対応をしたことで、障害がある方のみならず高齢のお客様や、乳幼児を連れたお客様などにも快適に過ごして頂ける施設になった。
現在、海外ではバリアフリーの需要が上がっており、インバウンド旅行客が増加している今、国内ホテルもバリアフリーの導入を積極的にしていく必要がある。
「宿泊施設バリアフリー化支援補助金は事業主・宿泊者双方のニーズに合った有用な補助金であり、新築物件であれば申請の基準も合わせやすい」と同社は認識しており、今後も活用していく予定である。