同社は、2006年に新橋に事業所を構え、外国人観光客向けのガイド付き自転車ツアーの事業を始めた。
当時、自転車ツアーは、ヨーロッパを中心に多くの観光客に利用されていたが、日本ではまだあまり認知をされていなかった。
肥塚代表は、東京都内のホテルコンシェルジュに対して自転車ツアーの宣伝を繰り返すなど、地道な努力の結果、口コミを通じて徐々にその認知度が上がっていった。
2011年の東日本大震災により外国人観光客のサイクリングツアーのキャンセルが多発した際は、新たな事業としてカヤックツアーを開始した。その前年に移転した新しい事業所の目の前に運河があったことが決め手になり立ち上げた事業である。
順調に事業を拡大していたが、コロナ禍は外国人観光客が震災時の比にならない程減少した。
次の一手を打つ必要があると感じていた肥塚代表、自身もその経験から他の事業者にアドバイスをすることは多かったが、自身がアドバイスを受け、第三者の視点で事業を俯瞰して見ることで新たな発見や気付きがあるのではないかと考え、東京観光産業アドバイザーに助言を求めた。
事例紹介
電動アシスト自転車を用いたサイクリングツアーとペットツーリズム事業への取り組み
~困難時こそ、事業の拡大や新規事業の立ち上げに挑む
- 活用した支援メニュー(最新版)
- アドバイザーを活用した観光関連事業者支援事業 (令和7年度)
事業者情報
- 企業名
- 株式会社アライブ・アンド・キッキング(Tokyo Great Tours)
- 所在地
- 東京都中央区新川1-3-2プリモ新川1階
- HP
- https://tokyogreattours.com/

株式会社アライブ・アンド・キッキングが運営するTokyo Great Toursは主に、サイクリング、カヤック、ランニングなどアウトドアアクティビティのガイド付きツアーを外国人観光客に提供している。
同社は令和4年度から5年度にかけて「アドバイザーを活用した観光事業者支援事業補助金」を活用し既存事業を拡大するとともに新事業を立ち上げ、収益向上につなげた。
<補助金・事業を利用したきっかけ>
インバウンド需要の落ち込みの際に取り入れた第三者の視点

<補助金・事業を活用した取り組み>
既存事業の拡大と、新たな事業「ドッグフレンドリーツアー」の開始
都内を巡る自転車ツアーは外国人向けの事業であり、実際、外国人観光客に大変好評だが、コロナ禍による移動自粛により外国人観光客がほぼゼロとなった。
肥塚代表は、アドバイザーの助言の元、自転車ツアーの事業拡大に取り組む。
同社の自転車ツアーは走行距離が30㎞近くあるものが多く、坂や橋の上り下りもあり、長距離の自転車走行に慣れていないと参加が難しい。
その為、過去にはグループ全員でツアーに参加をしたくても、走行距離の長さから参加ができない方もいて、別行動をする事例も発生していた。
そこで、長距離の自転車ツアーに馴染みがない方でも気軽に参加ができるよう、電動アシスト自転車を導入し、同時に走行距離の短い新規のルートの開発も手掛けることとした。
その結果、脚力に自信がない方などが自転車ツアーを利用して下さるようになり、徐々に収益にも結び付くようになった。
また、コロナ禍がきっかけでぺットと暮らす人が増えたことにより、愛犬と一緒に都内でサイクリングやカヤックが楽しめる「ドッグフレンドリーツアー」を新規事業として開始。犬専用のライフジャケット、大型犬用のトレーラーを用意し、ツアーを掲載するWEBサイトの更新にも着手した。


<概算費用>
総事業費 約149万円
そのうち補助金 約102万円
<補助金・事業の活用スケジュール>
申請:2022年12月末
交付決定:2023年2月上旬
実績報告提出:2024年3月
額確定:2024年4月
補助金受取:2024年5月
<効果>
新規事業の取り組みによるターゲットの拡大 新たな連携への期待

肥塚 由紀子 代表取締役
インバウンド需要が落ち込み、廃業まで考えた肥塚代表を救ってくれたのが補助金だった。東京観光産業アドバイザーの助言の元、事業の拡大を実施して、その為に必要な備品を購入し、コロナ禍を乗り越えることができた。
電動アシスト自転車を導入したことで、多くの方にツアーをご利用頂き、様々な方に気軽に参加頂けるようになった。また、電動アシスト自転車は、普段、長距離の自転車走行に慣れていない方でも快適に乗りこなすことができるため、新たな客層の開拓ができた。
肥塚代表は、普段、長距離の自転車走行に慣れていない方が、電動アシスト自転車に乗り、坂を楽々と上っていく姿を見る度に、新たな取り組みにチャレンジして良かったと感じているとのことだ。
「ドッグフレンドリーツアー」は新たな事業として、これからOTA(Online Travel Agent)販売や近隣のペットの宿泊可能なホテル等との連携が期待されている。
「これからドッグフレンドリーツアーの認知度を上げていき、新たな客層の開拓をしていきたい。そして、ドッグフレンドリーツアーをカヤックツアーの冬季閑散期を補う商品にしていきたい」と笑顔で語る肥塚代表。
同社の今後の更なる飛躍に期待が高まる。