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新築ホテルにバリアフリー対応の客室とエレベーター整備
~誰もが快適に利用できる施設へ

活用した支援メニュー(最新版)
宿泊施設バリアフリー化支援補助金(令和6年度)

事業者情報

企業名
京成電鉄株式会社(京成リッチモンドホテル東京押上)
所在地
東京都墨田区押上1-8-23
HP
京成リッチモンドホテル東京押上の外観

 京成リッチモンドホテル東京押上は、2022年3月に開業した総客室数145室のビジネスホテル。東京を代表する観光名所に近く、外国人旅行者の宿泊も多い。同ホテルは新築工事に当たって2020年度に「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」を活用し、バリアフリー対応の一般客室計133室とエレベーターを整備。誰もが快適に滞在できる環境を目指した。

<補助金・事業を利用したきっかけ>
建築設計事務所からの提言で補助金を知り、一般客室の設計を変更

 京成電鉄の担当者によると、ホテルの設計が進んでいた2019年10月ごろ、設計と施工の管理・監修を担当していた建築設計事務所を通して補助金の存在を知り、「ぜひ活用しよう」と検討を始めたという。
 同ホテルでは全145室のうち、バリアフリー対応の客室 「ユニバーサルツインルーム」を2部屋設定していたが、車いす利用者や高齢の宿泊客がより快適に滞在できる施設を目指し、143室ある一般客室のうち133室をバリアフリー化の基準に合わせた設計に変更。バリアフリー対応のエレベーターと併せて補助金の申請を決めた。残る10室は角部屋で他の客室とは構造が異なっていたこともあり、申請の対象にはしなかった。
 2022年6月、ホテルの建設工事が着工(補助金の交付対象箇所を除く※)。補助金の申請は事前相談を経て9月初旬に行い、同月末には交付が決まり、補助金交付の対象箇所となるエレベーターとユニットバスの設置工事に着手した。

※補助金交付の対象となる箇所は交付決定後の契約・着手となり、それ以前の着工は対象外となる。

<補助金・事業を活用した取り組み>
幅広のドアにフラットな床— 全ての宿泊客にとって使い勝手の良い一般客室に

一般客室のバスルーム(左:通路側から 右:バスルーム内から)
エレベーター(左:外観 右:内部)

 一般客室は扉のサイズを当初の設計から変更し、部屋の出入口の幅を80cm以上、バスルームの扉の幅を75cm以上に再設定した。一方で扉が大き過ぎると通路の幅が狭くなり、却ってバリアフリー対応が特段必要ない宿泊客の使い勝手に影響が出る可能性もあったため、設計には苦労したという。また、客室の床は段差のないフラットな構造とし、誰でも不便なく過ごせる部屋づくりに注力した。
 エレベーターは2基設置し、いずれも籠の両側に手すりと車いす利用者の使用を想定した操作盤を設けたほか、点字表示を施した(条例上、車椅子対応のエレベーター1基の設置が義務付けられているため、補助金の交付対象は義務化された基準を超える整備である2基目の整備費用のみ)。
 建物は2022年2月に竣工し、翌3月に晴れてオープンした。

概算費用

総事業費約12,019万円、補助金額約6,516万円

補助金・事業の活用スケジュール

本体工事着工:2020年6月(※補助金交付の対象箇所を除く)
申請:2020年9月初旬
交付決定:2020年9月終わり
※補助金交付の対象箇所(エレベーター、ユニットバス)着工
竣工:2022年2月
開業:2022年3月
実績報告提出:2022年4月
額確定:2022年4月
補助金受取:2022年5月

<効果>
常連となった車いす利用客も

京成リッチモンドホテル東京押上の外観

 比較的新しいホテルながら既に常連の車いす利用者がおり、「快適に過ごせる」と好評だ。ユニバーサルツインルーム以外の一般客室も特段問題なく利用しているという。
 運営事業者は補助金の意義や効果について「バリアフリー化に伴い多額の工事費が発生するが、補助を頂けることで、いろいろなお客様にご利用いただける施設づくりができる。このホテルも、そのような環境を整えることができた」と語る。