同連盟によると、園道のライトアップは以前から計画していたものの、コロナ禍の影響で実現には至っていなかったという。約200mの園道はもともと照明が少なく、夜間は安全面での懸念があった。上野恩賜公園は花見の名所として広く知られ、同園で例年開催される「うえの桜まつり」には多くの花見客が訪れることもあり、新たな見どころの創出や夜間の安全性向上の両面から「園道にも明るい演出を」と桜の開花時期にライトアップするプランが持ち上がっていた。
コロナ禍で失われた日常生活が元に戻りつつあった2023年1月上旬、道路や公園、河川沿いなどの桜のライトアップ事業が対象の「春のライトアップモデル事業費助成金」を申請した。補助金に関する情報は、東京観光財団のホームページや台東区からのお知らせなどを通して知る機会がたびたびあった。
事例紹介
上野恩賜公園園道の桜をライトアップ
~春の園内に彩り、にぎわいと明るさ創出
- 活用した支援メニュー(最新版)
- 春のライトアップモデル事業費助成金
事業者情報
- 企業名
- 一般社団法人上野観光連盟
- 所在地
- 東京都台東区上野2-1-3 88ビル9F
- HP
- https://ueno.or.jp/
<補助金・事業を利用したきっかけ>
照明少なく暗い園道 安全面からも「明るい演出を」
<補助金・事業を活用した取り組み>
LEDライトが60本の桜並木照らす 園道満たした明るさと活気
演出に際しては、連盟が過去に別の場所で行ったイルミネーションを含め、国内外の公園や広場でさまざまなイルミネーションのデザインを担当してきた照明デザイナーに依頼した。園道両脇の植え込みに60台のLEDスポットライトを設置し、60本の桜並木を一本一本明るく照らした。ライトアップは「うえの桜まつり」の開催期間に合わせ、2023年3月中旬から4月中旬の午後5時~午後10時に実施。夜桜を楽しむ大勢の人で連日にぎわった。夜間は寂しい印象だった園道が、明るさと活気にあふれる雰囲気へと変貌を遂げ、夜の公園に新たな彩りを添えた。
安全面では来場客の足が機材のケーブルなどに接触しないよう細心の注意を払い、夜桜観賞と散歩を気軽に楽しめる環境を整えた。
<概算費用>
総事業費 約283万円 そのうち補助金 約283万円
<補助金・事業の活用スケジュール>
申請:2023年1月
交付決定:2023年2月
ライトアップ実施:2023年3月中旬~4月中旬
実績報告提出:2023年5月
額確定:2023年6月
補助金受取:2023年7月
<効果>
予想以上の人出 ホームページのアクセス増も
初めてライトアップされた園道の桜並木の美しさに、来場客からは好意的な声が多く寄せられた。期間中は約24万人が訪れ、公園周辺の商店街へのヒアリングでも「前年比で3倍程度の人の流れがあった」との所感があったという。担当者は「予想以上の人出だった。双方向に花見客が行き交い、多くの方に楽しんでいただけた」と手ごたえを語る。ライトアップ情報を発信した連盟のホームページにも通常の約10倍のアクセスがあり、関心の高さがうかがえる。
夜桜を効果的に彩ったライトアップ事業。訪れた多くの人々の思い出に残り、公園全体のイメージをさらに色鮮やかなものに変えたことだろう。